セーラームーン保存会

高岡しゆ「あたしたちが愛する「なかよし」のマンガ作品」

2014年に「なかよし」は生誕60周年を迎えます。この長い歴史の中で、夢と希望を与える数々の作品が誕生しました。今も愛する人達がいて、応援するファンがいます。そして、愛読者だった子供たちが今度は作り手となって新しい世代に作品を発信していくようになりました。今回、インタビューに応えてくれた高岡しゆ先生は「なかよし」に連載を持つ現役少女漫画家。幼少時代「美少女戦士セーラームーン」の大ファンだったそうです。このページでは、DNP市谷田町ビルにて開催された「なかよし×hontoカフェ 〜大好き!なかよし魔法少女展〜」の模様を伝えながら、「なかよし」作品を振り返っていきたいと思います。高岡しゆ先生には、毎月原稿と向かい合っている作家視点から「なかよし」の世界を語って頂きました。

日時 2014年2月7日(金)〜3月17日(月)
開催場所 東京都新宿区市谷田町1-14-1 DNP市谷田町ビル
コミュニケーションプラザ ドットDNP 1F hontoカフェ
http://www.dnp.co.jp/dotdnp/
主な展示作品 秋元奈美「ミラクル☆ガールズ」
立川恵「怪盗セイント・テール」
安野モヨコ「シュガシュガルーン」
あさぎり夕「なな色マジック」「ミンミン!」
高岡しゆ「少女結晶ココロジカル」
星野リリィ「きぐるみ防衛隊」

「なかよし×hontoカフェ 〜大好き!なかよし魔法少女展〜」について

なかよし×hontoカフェ

Mio私にとって「なかよし」は子供の頃から愛読していた事もあって思い入れのあるマンガ雑誌です。このイベントは「なかよし」の魔法少女作品が「hontoカフェ」で展示されるということで興味を持ちました。魔法少女に限定した作品のラインナップが良かったです。高岡先生も行かれたんですよね、如何でしたか?

高岡しゆ「なかよし×hontoカフェ」は打ち合わせとプライベートで期間中2度お邪魔しました!入り口のパネルからコースター、テーブルまで「なかよし」キャラ一色で。「なかよし」ファンとしてそこにいるだけでテンションが上がるような幸せ空間でした。そんな場所に「少女結晶ココロジカル」も混ぜて頂けて、本当に本当にありがたかったです。魔法少女ココアはかわいいしおいしいしかわいいし歴代ふろくの展示は懐かしいしかわいいしかわいいしかわいいしテーブルの一つ一つに各作品の主人公のプロフィールがのってたりして細かな所まで作り込んであってとても楽しかったです。

なかよし×hontoカフェ
なかよし×hontoカフェ

Mio私はテーブルで迷いました。どのキャラクターの席に座ろうかって。みんな大好きなので、選べなくて…。ドリンクを飲みながら電子書籍化されたマンガが読めちゃうのもいいですね。今「なかよし」で連載されている高岡しゆ先生や星野リリィ先生の作品を中心に読ませて頂きました。お二方とも絵が可愛くて可愛くて・・・!カラーもアナログからデジタルに変わっていて、「今」の「なかよし」を感じました。

高岡しゆお客さんに子供連れの若いお母さんが多かったのも印象的でした。

MioドットDNPは絵本ミュージアムやキッズスペースがあることから親子で利用できる環境が整っていましたしね。小さい子供も退屈しない充実した設備は女性視点から非常に好印象な場所だと思いました。

なかよし×hontoカフェ
なかよし×hontoカフェ
なかよし×hontoカフェ
なかよし×hontoカフェ

あたしたちが愛する「なかよし」のマンガ作品

高上優里子どの時代もそれぞれの「なかよし」らしさ、思い出深い作品があります。そもそも「なかよし」を買い始めたきっかけは武内先生なんです。「るんるん」の創刊号を本屋さんで立ち読みして「コードネームはセーラーV」に衝撃をうけて、何回も立ち読みして忘れられず結局買って、「美少女戦士セーラームーン」が始まる事を知って92年1月号(予告もみたかったので…)から「なかよし」を買い始めました。なので、あのときVちゃんを読まなかったら「なかよし」は買ってなかったかもしれないし、「なかよし」で漫画家になっていなかったかも知れないです。

Mioあたしの家では「キャンディ・キャンディ」の影響が強く、少女マンガ雑誌といえば「なかよし」を指す程でした。毎月の発売日を楽しみに思うようになったのは90年代に入ってからですね。その中で特に夢中になった作品が「美少女戦士セーラームーン」でした。

なかよし×hontoカフェ
なかよし×hontoカフェ

高上優里子他の作家さんでは、猫部ねこ先生、あゆみゆい先生、森下津嵩先生の作品が好きでした。 思い出深いのは増刊連載作品でしたが森村愛美先生広瀬宝子先生の「花橘の香を髪に」。 完結してだいぶたって単行本が出てものすごく嬉しかった覚えがあります。 増刊作品はあまり単行本にならないので雑誌自体捨てられないんですよね…。 増刊でまだ本誌に出ていない新しい作家さんを見つけるのが楽しくて その方が本誌連載をもつと私の目に狂いはなかった!と思ったりしていました。 連載じゃないですがまんがスクールをチェックするのもたのしみで ずっとスクラップしていました。今でもチェックしています!

Mio86年の「なかよし新人まんが賞」では、90年代前半の主力作家となる「きんぎょ注意報!」の猫部ねこ先生、「美少女戦士セーラームーン」の武内直子先生、「ミラクル☆ガールズ」の秋元奈美先生が一斉にデビューしたんですよね。この同期3人の作品が低下していた「なかよし」の発行部数を上昇させるキッカケになったと思います。そこに他誌で活躍していたCLAMP先生の新連載が開始。「魔法騎士レイアース」は異彩を放つ存在でした。「美少女戦士セーラームーン」が始まった92年にデビューを果たした立川恵先生は約2年ほどでTVアニメ化作品「怪盗セイント・テール」を連載する看板作家になっています。人気作が並ぶ本誌で早々と存在感を示したという意味でも印象的でした。

なかよし×hontoカフェ
なかよし×hontoカフェ

しめ子ファンタジーやギャグ作品が好きなのでそういった作品の多かった90年代の「なかよし」や「るんるん」が特に思い出深いです。私は4コマまんがをスクラップしていました。(スクラップ姉妹…)「南第一学園」、「ちゃいなちゃいな」、「ボンジュール」、「トマトな毎日」、「POCHI」…。かわいいのにどこかシュールさがただよう「なかよし」のギャグ作品が本当に好きで好きで…なので、今は松本ひで吉先生の「さばげぶっ!」を心からたのしみにしています。

Mioホラー・サスペンス作品もありましたよね。「闇は集う」の松本洋子先生による短編「にんじんだいすき!」はラストの無残な描写が忘れられません。日野日出志先生が表紙を担当する夏のホラー特集号「恐怖の館」シリーズも毎年恒例で楽しみのひとつでした。ただ、絵柄の可愛い少女マンガと見せかけたグロテスクな内容だったので、小学生向けの雑誌としては刺激が強かったかもしれません。小坂理絵先生の「家族の食卓」など、後味の悪い結末が多かったですしね。でも、普段の「なかよし」では見ることのない部分だからこそまた別の感情を教えてくれた大切な作品であると思っています。まぁ、なにより別冊付録があるといつものよりたくさんの漫画が読めるので嬉しかったんです、マンガが大好きでしたから。

なかよし×hontoカフェ
なかよし×hontoカフェ

しめ子ストーリーものでは「コードネームはセーラーV」、「Theチェリー・プロジェクト」、「チム・チム・チェリー」、「くるみと七人のこびとたち」、「ミンミン!」、「魔法学園マホマホ」、「みつあみ四重奏」…。 小学校どころか園児の頃に読んだ作品も多いですがどの作品も印象深くて個性的で。 大人になってから読み返してみるとカラーページの配色から構図、セリフ、コマ割も覚えている作品まであってハッとしました。よくある"姉が買っていた雑誌を読んでいた妹"でしたが幼少期からそういったすばらしい作品にたくさん触れることができてとても恵まれていたなあと思いますし幸せに思っています。 もちろん…セーラームーンも!!!!!!!!!!!!!当時はふろくや応募者全員大サービスも作品の絵が入ったものが当たり前だったので 姉妹で応募したい全サや所有したいアイテム、好きなカラー扉が重なるときは 家に同じ「なかよし」が2冊あったりもしました。

Mio組み立てて作る付録が多かった90年代と比べると、今の付録はとても進化していますよね。2013年に話題になった「なかよし」3月号「スーパー最強マンガ家セット」はわずか1週間で完売。続く第2弾「進化形まんが家究極セット」では異例となる通常の4割増の部数で出荷したそうですね。ここから「なかよし」の次世代を担う売れっ子漫画家が誕生してほしいと思いました。

しめ子先生によるデジタル作画

2013年なかよし9月号付録「進化形まんが家究極セット」のデジタル作画の方法をYouTubeで動画配信!しめ子先生による初音ミクの色つけ作業と「少女結晶ココロジカル」こころちゃんの線画作業を見ることが出来ます。

「美少女戦士セーラームーン」から受けた影響について。

影響は計り知れません…!!!当時はアニメ雑誌の切り抜きをスクラップしたり(またスクラップ…) グッズファイルをつくったりノートをつくって毎週のアニメの感想や 作品とキャラクターへの思いをぎっしりみっちり描いていました。 子供だったのと地方住みだったのとでグッズ集めには限界がありましたが…。 セーラームーンや武内先生の影響で宝石も大好きになり 新聞折り込みで宝石のチラシがあると切り取って宝石別に ノートに貼り集めたりして…(ああ、これもスクラップですね…) こうした部分はココロジカルに繋がってると思います。 3年半前に上京してからは実際に麻布十番や東京タワー、天王洲アイルに行ったりして (いわゆる聖地巡礼です)とっても元気になりました。 以降も仕事や私生活でつまづいたときは麻布十番を訪れたり 原画集やアニメをながめたりしているのでもはや生活の一部です。 今も昔も沢山のパワーをくれる一生大好きな作品です。 (20周年で今新しいグッズが沢山でたりミュージカルでまた 盛り上がる事ができているのが本当に幸せです!)

魔法少女の魅力とは。

見ているだけでしあわせになれる キラキラかわいい衣装とアイテム! そしてがんばる女の子! 困難に負けず運命に立ち向かう魔法少女たちから たくさんの元気や勇気をもらってきました。 これから"現実"という困難や敵と戦う事になる少女たちに 「だいじょうぶだよ」「あきらめないで」 「あなたならできるよ」 と自分を信じる力をあたえてくれる。 生きるためのポジティブなメッセージをまっすぐに伝える 魔法少女というジャンルが大好きです。 ココロジカルは "人々が仮想空間に閉じ込められダンスバトルをする漫画" というお題を提示された上で考え始めた作品なので 私たちは"魔法少女もの"とは思っていなくて。 ただ作品を作るモチベーションのとっかかりとして 「オンラインでのキャラクターの容姿、衣装の変化」(変身要素)や 「宝石コンピューターの設定」、「一人に一つ誕生石のアイテム」等 自分たちが"わくわくする要素"や"魅力を感じるもの" をねじり込んで強調していった結果 それが魔法少女的なものであった…という事だと思います。 ただ"魔法少女の魅力"で語った事と作品のテーマは重なる部分も多いので そういった意味でも魔法少女とココロジは近いものなのかもしれません。

今の「なかよし」で連載しながら感じること。

載っている作品はさまざまですがいつになっても“「なかよし」らしさ”はかわってないと思うので 元「なかよし」読者の大人の方にも今の「なかよし」をぜひぜひ読んで頂きたいです! 「なかよし」で連載してみて改めて歴代のなかよし作家さんが積み重ねてきたものの大きさや偉大さ、雑誌と読者さんへの"愛"を感じています。作品を描ける事に対する感謝と楽しむ心をわすれず愛と情熱を作品にこめて全力で描いて行けたらと思っています。

「少女結晶ココロジカル」 著者:高岡しゆ 掲載:月刊「なかよし」 出版社: 講談社

Youtube動画【高岡しゆ『少女結晶ココロジカル』公式PV】動画を見る。